05/20/14 作品更新−静かなる日々



 本館 Gallery に新作をアップした。今回は風景作品で、そろそろ暑くなってきたので水辺の景観を制作してみた。あまり使ったことのない大気設定を用いて、古い絵葉書のような効果を狙ってみたのだが、どうだろうか。

 昔の絵葉書で、写真なのにまるで絵のように見えるものがあって、これはどういうふうに撮影してあるのだろうと思っていたら、あるとき、白黒写真に色を塗ってカラー写真の代用にしたものだと知った。カラー写真が高価だった時代の産物らしいが、これはこれで面白い仕上がりになっていて、デジタル時代の今なら、デジカメ写真の特殊効果として採用していいんじゃないかと思った。もしかしたら、そうした古い絵葉書を意識したフィルタが既に作られているのかもしれない。

 絵と写真の関係は面白いもので、「絵のように美しい写真」なんてことがよく言われる。じゃあ絵の方がいいかとなると、絵描きはみんな、自分の絵にリアリズムを求める傾向にある。なるべくリアルに描いて「実物の雰囲気をよく捉えている」なんて言われたい。絵の入門者なら、みんなそう思っているはずだ。それがドンドン高じると、写真と見まごうほどリアルに描く「スーパーリアリズム」に向かうのである。

 私なんぞから見れば、「それじゃあ写真に撮ればいいじゃない」と思ったりするのだが、あるときスーパーリアリズムの宣伝で「写真よりもリアル」なんて謳い文句が登場していて、なるほどなぁと感心した。絵のような写真を撮りたがる人と、写真を超えるリアリズムを絵に求める人。一見すれば矛盾する双方向からの願いだが、かくほど左様に絵と写真との関係は微妙で、面白いのである。

 そんな中でコンピューター・グラフィックス(CG)の位置付けはというと、「写真を超えるリアリズムを絵に求める」という努力を後ろ押しする道具なのだろう。昔なら明らかに絵と分かるSFの一場面を、本当にこんな光景がどこかにあるかもしれないと思わせるようなリアルさで表現する。まさにCGの醍醐味である。

 Vueもその方向でどんどん進化しているようで、最近の作品を見ていると写真と見分けがつかないものが増えた。ユーザーの技術が向上した面もあろうが、Vueそのものの描画性能が進化した面の方が大きいと思う。バージョンアップすることで、あまり技術のない入門者でも、たやすくリアルなCGを作れるようになったのだ。

 そんな中で私はどうかと言うと、あまり作品のリアリズムを追い求めていない。写真と見間違えられそうかどうかは、私が作品を制作していくうえであまり重要なことではない。むしろ、作品で描く世界観や物語性を大切にしたいと思っていて、それさえ自分なりに満足の行くものが出来れば、リアリティーに多少の問題があっても構わないというのが私の作品の流儀である。

 前回、Vueのバージョンアップを暫し見送ることにした旨書いたが、最新版を持つことにそれほどこだわらないのは、おそらくリアリティー追及の意欲がさほどでもないからだろう。リアリティー重視なら、e-on社の宣伝メールに掲載されている最新のVue作品のリアリティーを見て、居ても立ってもいられなくなると思う。だが、幸か不幸か私の場合、毎度バージョンアップのたびに貰う最新版紹介メールを見ても、そこまで心動かされたことはない。比較的平穏に眺めていられるのだ。

 むしろ気になるのは機能の方であり、従来なら出来なかった表現が簡単に出来るようになったら、最新版を欲しくなるのだろうなぁと思う。例えば、一発でオブジェクトに雪を積もらせられるとか、筆で描くように川を設定できて、ついでに高低差に応じて水の流れを表現できるとか…。そんな機能が搭載される日が来てほしいものだが、なかなか心躍る魅力的なお知らせは届かない。そのうち来ることを期待しながら、楽しみに待つことにしよう。

 あっ、そうそう、今回の作品については、試しに様々な大気設定でレンダリングをしてみたので、「Junk Box/ガラクタ箱」にそのうちの幾つかを掲載しておいた。こんなことして遊んでいたので、作品更新をアップするのが週末に間に合わなかったのだ。興味ある方はご覧下さい。


 
05/06/14 ゴールデンウィーク



 今年のゴールデンウィークは日の並びが悪い。そのうえ仕事の都合で事前に確実に休めるのかが分からないような状況に追い込まれたものだから、前日になって「どうやら明日は休めそうだ」なんて分かる有様で、旅行の計画云々なんていう壮大な構想は持ち合わせないまま休みに突入してしまった。まぁそのお蔭で時間に余裕が出来たので、懸案だったVue Pioneer 2014をようやくダウンロードして試してみた。

 私の使っているVueは6 Infiniteで、現在のバージョンからすれば骨董品とも言える存在だ。今回ダウンロードしたPioneer 2014はVueのラインナップからすれば最も下の入門版で、それゆえ無料で提供されている。でも何世代も進化した版なので、レンダリングなどの処理速度は劇的に変わっているのではないかと期待して起動してみた。ところが、これがどうにもならない問題児だったのだ。

 まず起動して地形を呼び出した。これは何の問題もなかった。しかし、地形のマテリアルとしてVue Pioneer 2014に最初から組み込まれている森のEcoSystem素材をロードしてデフォルトのまま適用したら問題発生。何と適用するだけで1時間近くかかって、それでも終わらない。

 私が以前使っていたオンボロPCなら分かる。しかし、今の我がPCは、Intel Core i7-4770にメモリーを32GBも積んでいる。これでVue内に予め用意されているEcoSystemを適用させるのに、1時間以上かかるってどういうことなんだと呆れかえる。あまりに時間がかかるので途中で止めようとしたら「応答なし」のフリーズ状態。仕方なくVue自体を強制終了させた。

 気を取り直して再度起動。前回はマテリアルに何か問題があったんだと思い直して別のEcoSystem素材を適用。しかし、これまた同じ状態に陥り、待てど暮らせど草も木も生えてこないまま時間だけが経過していく。一度、メモリーを使い切る惧れがある旨警告が出たが、Vue画面の右下のリソースの空き容量は95%と表示されている。32GBもメモリー積んでいてデフォルトのマテリアルでメモリー不足になるなんて、どう考えても信じられない。再び途中で止めようとしてフリーズし、仕方なく強制終了という流れも初回と同じ。

 もはやこれはどうにもならないと諦め、せめてレンダリングだけでも試してみようと三たび起動。デフォルトのマテリアルのまま地形を呼び出し、大気もデフォルトでレンダリングだけしてみる。ところが、恐ろしく遅い。1600×900ピクセルの大きさでFinal設定にしてレンダリングしているのに、何と8分35秒もかかった。Vue6 Infiniteではこんなことはないと思い、ほぼ同じ設定でレンダリングしてみると僅か20秒で終了。6 Infiniteの25倍もかかるって、どういうことだ?! これじゃあ、まるで勝負にならない。

 休日の良き日に虚しい時間だけが過ぎる展開にバカバカしくなって、結局それ以上試すことなくVue Pioneer 2014を終了した。

 当初は、このゴールデンウィーク中にVueをバージョンアップしようと思っていたのだが、Vue Pioneer 2014の余りの不出来に憤慨して中止。こりゃ無期限中止だよなんて思いながら、Vue6 Infiniteを起動して、地形部分に重めのEcoSystemを適用して試しにレンダリングしたのが上の作品である。軽快に動作しレンダリング時間も僅かなものだった。

 Vue Pioneer 2014の動作がのろいのは何か原因がある気もするが、それが何かが分かるまではバージョンアップする気になれないなぁ。Vue 2014シリーズの上位版があの状態では詐欺に近いから、もっとましなんだろうが、どの程度優秀なのか実感できないと高い金出す気にはなれない。買ったはいいが進化が実感できないでは、泣くに泣けないよ。何より、ロートルのVue6 InfiniteでもPioneer 2014を完全に凌駕できることを今回の試行で知ってしまったから、バージョンアップに対する意欲がそがれたことは事実だ。

 いずれにせよ、期待が大きかった分だけ失望も大きく、その後一回もVue Pioneer 2014を起動していない(笑)。


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