この作品はブログ用に制作したもので、そのときのブログの内容に合わせて作ったつもりである。

ちなみにブログの内容は、江戸川乱歩の短編小説「押絵と旅する男」にまつわるものであり、ローカル線の汽車の中で主人公が出会った奇妙な男の語りでストーリーが進む。その男と主人公は夕暮れの車内で出会い、どことも知れぬ山間の小駅で男は下車し夜の闇に消えて行く。

さて、そうしたストーリーの中の一場面をコンピューター・グラフィックス(CG)に仕立てようとすると、幾つものイメージが思い浮かぶ。私としては、この小説の最後の場面である、奇妙な男が山間の駅で闇に消えて行くところを作りたかったのだが、戦前の駅の風情やら照明効果やらが難しそうだったので、あっさりと断念した。諦めが早いのである。

では、ひなびたローカル線を汽車が走るところはどうだろうとも思ったが、戦前の日本の蒸気機関車なんて、どんなシロモノか分からない。それに何より、それを作るだけのモデリングの腕前がない。

そうして吟味していくと選択肢は一気に狭められ、結局男が降りた山間の駅の遠景という形に落ち着いたわけである。ちなみに、踏切とプラットホームは Shade で自作した。この最小限のモデリングで駅を想像してもらおうという横着さである。

しかし、この「押絵と旅する男」、読んでいると様々なイメージが湧いてくる佳作である。モデリング能力の高い人なら、これ一編をそのまま数枚のCG で表したら面白いのになぁと思う。私がそれを制作できる日は、永久に来ない気がするが・・・。



(C) Stardust Crossing. All rights reserved.


Previous Back to Room Top Next
Back to Home   Back to Gallery Top