No.010 マテリアルを自作する


* 以下の解説は「Vue 5 Esprit」を前提に書いています。


Vue のマテリアル(表面材質設定)は標準装備でかなり充実しているし、よく出来ていると思う。また、ネット上には有料・無料のマテリアル・データが公開されており、それをダウンロードしてインストールすれば、更にマテリアルの種類を充実できる。

ただ、自分のイメージに合ったものがどうしても見つからず自作したくなることがあるかもしれないし、自分の身近な素材を写真撮影してマテリアルに使ってみたいと思うこともあるだろう。

前回は、既存のマテリアルを調整して自分好みに変える手順を紹介したが、今回は、自分で撮影したデジカメ画像を使って、マテリアルを自作する方法を解説してみたい。と言っても、このコーナーは初心者向けなので、最もオーソドックスな方法のみ紹介する。



● 画像を用意する

何はともあれ、マテリアルとして使う画像が必要になる。ここでは、デジカメでとった岩の表面写真を使うことにする。

デジカメ以外でも、普通の写真をスキャナで取り込むとか、デジタルビデオカメラからひとコマを取ってくるとか、画像の用意の仕方は色々あろうが、世の中には著作権というものがあるので、ネットに掲載されている写真を無断で使うのはやめた方がよい。





これは、私が近所の公園で撮影した岩の表面写真である。表面に草やら何かの実やらが落ちているのだが、そんなことは気にせずにいこう(笑)。

なお、原画の解像度は、1500X1500ピクセルである。




今回は、3分で作成したやっつけ仕事のこの作品(?)について、岩のテクスチャを自作のものに張り替えるという作業を通じてマテリアルの自作過程を解説していくこととする。

ちなみにこの画像の岩のテクスチャは、Vue のオリジナルのものである。

見て分かるとおり、リアル感からいってちょっとどうかねというレベルのマテリアルである。さて、この岩がどう変身するのか、お楽しみに。



● マテリアルを初期化する

マテリアルを自作するに当たり、マテリアル・ファイルをイチから作るのも何なので(というかイチから作る方法を知らない(笑))、既存のマテリアル・ファイルを初期化して土台にすることにする。





まず、Vue 画面右下のブラウザから岩石を選択する。

選択したら、その上に表示されるオブジェクト属性パネルの上にある3つのタブのうち、左端のタブをクリックすると、現在選択されているマテリアルが表示される。

このマテリアルのプレビュー画像の上にマウスのポインタを合わせて右クリックすると、左の画像のような選択画面が出て来る。赤いマルで囲んだ「質感を初期化」をクリックすると、岩石に適用されていた表面材質は初期化され、黒いマテリアルに変わる。




マテリアルを初期化した後、黒い球として表示されるマテリアル画像をダブルクリックして詳細質感エディタを開いたのが左の図である。この詳細質感エディタを操作して新しいマテリアルを作っていく。

なお、この「Tips」でのマテリアルの解説は、全て「詳細質感エディタ」をもとに進めていく。Vue のエディタが「基本質感エディタ」になっている方は、エディタ画面左上の「詳細質感エディタ」のボタンをクリックして表示を切り替えて頂きたい。



● 画像の貼り付け

ここでは、一番簡単なマテリアル作りを解説する。基本的な手順は、画像を貼り付け、バンプを設定し、光沢や反射などの調整を行うというものである。まずは画像の貼り付けから始めよう。





画像の貼り付けは、詳細質感エディタの下半分にある画面のうち、一番左のタブである「カラー」をクリックして行う。通常なら、初期画面で「カラー」が選択されているはずである。

「カラーモード」が「画像マッピング」になっていることを確認したうえで、左図の赤いマルで囲んだ「読込み」をクリックする。




出て来た画像選択画面の左下にあるフォルダアイコン(赤い丸で囲んだもの)をクリックして、自分が適用しようとする画像(今回の場合は冒頭のデジカメ写真)を収めたフォルダを選択する。




今回のデジカメ写真は Cドライブの「temp」フォルダに「rock.JPG」という名前で保存したので、これを探し出して選択すると、画面下にプレビューが出る。

画像を確認したら、左図の赤いマルで囲んだ「開く」をクリックすれば、選択した画像がマテリアルに適用される。




画像マッピング設定後の詳細質感エディタ画面である。

画面左下の「画像ファイル」の欄に、選択した写真が表示されているのが分かるだろう。

しかし、この段階では、画面左上のプレビューで見るかぎり「磨かれた石」という感じである。更に、バンプや光沢などを設定して、リアル感を調整しよう。



● バンプの設定

上記の画像マッピングだけでは、ツルツルに研磨された石材みたいなので、ゴツゴツ感を加えよう。これには、バンプの設定を行う必要がある。

バンプの設定には関数を使用する。といっても視覚的に処理できるシロモノなので、恐るるに足りない。





バンプの設定には、詳細質感エディタの中の「バンプ」を使用する。画面下のタブから「バンプ」を選択すると左図のような画面が出て来る。

「バンプ生成」に表示される灰色の球の上にマウスのポインタを置いて右クリックすると、選択画面が出て来るので、赤い丸で囲んだ「関数を編集」をクリックする。そうすると、関数エディタの画面が表示される。




左図が、出て来た関数エディタの画面である。こんなの今まで見たことないという方もおられようが、作業は簡単なのでご心配なく。

まず、画面左に縦に並んでいるアイコンの中から、上から4番目にあるアイコンをクリックする。左図の赤い丸で囲んだ部分だが、マウスのカーソルを合わせると「テクスチャマップを追加」と表示されるので、ご確認を。




上から4番目にあるアイコンをクリックすると、画面下に黒いボールと黒い画面が現れる。これを見ると、ほぼ何をすればいいか分かるだろう。

左図の赤い丸で囲んだ「Picture」のボタンをクリックし、先ほど画像マッピングで選択したデジカメ写真を選ぶ。

なお、ここではどんな画像を選んでも構わない。面白いバンプ効果を狙うなら、別の画像を用意して色々試してみるのもよい。




先ほど画像マッピングでデジカメ写真を選択したのと同じ手順で画像を選ぶ。選択後の関数エディタ画面が左図である。

画像が貼り付けられているのを確認したら、エディタ画面右端にある「OK」をクリックする。





バンプ設定後のマテリアルのプレビュー画面である。これでかなりリアルな岩の感じが出た。

ここまで来れば、作業はあとわずかである。



● その他の調整

画像とバンプは設定したが、詳細設定エディタでは他にも調整項目がある。今回は、自然な岩の表面材質を作ろうとしているので、「光沢」と「反射」をチェックしておこう。





自然な岩の表面にはつやがない。従って、初期設定で光沢や反射が入っているようなら、これをオフにしておいた方が、岩の質感が増す。

初期設定では、「反射」のタブにある「グローバル反射率」は0%になっていたが、「光沢」については「光沢のグローバル強度」(図の左下の赤い丸で囲んだところ)が40%に設定されている。スライダーを操作して、これを0%にしておこう。これで表面がつや消しなる。



● 自作マテリアルの完了

以上で自作マテリアルの設定は完了である。あとはマテリアルに名前を付けて、岩のオブジェクトに適用すればよい。





詳細質感エディタの左上の質感名は「?」のままになっているので、これをクリックして適当な名前を付ければよい。

名前を付けなかったらマテリアルを適用できないというわけではないが、識別のために付けておいた方が便利である。ここでは「公園の岩」とすることにした。

あとはエディタ右端の「OK」をクリックすれば、自作したマテリアルが岩に適用される。

また、自作したマテリアルを他の作品でも使いそうなら、同じ画面右端の一番下にあるフロッピィーマークをクリックすれば、マテリアルとして保存でき、いつでも呼び出せるようになる。




さて、自作したマテリアルを適用してレンダリングした画像である。最初の画像の岩に比べたら、かなりリアルになった。まぁ岩の写真を使っているのだから当たり前なのだが。

マテリアルの自作と聞いて「難しそう」と思った方もおられようが、やってみたら意外と簡単でしょ? 皆さんもデジカメ片手に外に繰り出されては如何か。戸外はマテリアルの宝庫である。







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